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INTERVIEWインタビュー
ゆったりに見える裏側の努力と 失敗を評価する柔軟な文化
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※下記はTech通信Vol.2(2015年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

ゆったりに見える裏側の努力と失敗を評価する柔軟な文化

しかし成功者は一握り。激烈な競争に勝つため、 起業家や経営者のほとんどは家に帰っても仕事をし続けています。深夜2時にメールの返信がくるのは珍しくありません。一見、みんなゆったりしているように感じるのは、天気がよいうえ、家族との夕飯に間に合うように、オフィスから引き上げる人が多いからです。

また、ときには失敗経験者のほうがプラスに評価されるという文化もあります。

たとえば、似たようなビジネスプランをもつ、同じくらいの経歴の2人が投資家にプレゼンするとします。ひとりは失敗なしの人で、別のひとりは「こう失敗した」と説得力ある体験談を語れる人。この場合、後者が評価されるでしょう。なぜなら、失敗経験をもつ人のほうが対応力があると見なされるからです。

対応力は、シリコンバレーという多民族で構成されるビジネス社会での市民権を獲得するために必要な条件でもあります。私は日本の大企業がシリコンバレーではなかなか活躍できなかった大きな理由は、本社の戦略や組織、そして英語力の先にある個人レベルの対応力の不足にあると考えています。

自分の意見をもっている人間が信頼される

アメリカ国内でも、とくに移民が多いシリコンバレーで話される英語は、スラスラとはほど遠いケースが日常茶飯事です。問われるのは英語力ではなく、信頼を得るための意見交換や情熱です。

直接ビジネスとは関係なさそうな領域でも、意見を述べあって信頼関係はつくられていきます。たとえば「中東情勢についてどう思いますか」と聞かれたときに「わかりません」では、よっぽど魅力的なビジネス案でなければ次回のアポイントは取れないでしょう。

日本で育成が課題となっているグローバル人材とは、単に英語をきれいに話せる人ではなく、会話の対応力に富み、文法は間違っていてもさまざまな自分の意見をもち、相手を魅了しながら信頼をつくりあげていける人材なのではないでしょうか。これこそ、世界中の企業や経営者、起業家を見てきた投資家を魅了できる人材が備えている共通項だからです。

アメリカ以外で生まれ育ち、シリコンバレーで成功した起業家たちを見ていると、そのように感じざるをえません。

「活用する」という発想転換のススメ

自国内に「○○版シリコンバレー」をつくろうという動きが世界で見られます。しかし、ビジネスインフラなどをこれから新たにつくろうとするだけではなく、それらができあがっている場所を上手に活用すべきだと感じるのは、私だけではないはずです。

いまシリコンバレーでは新たな起業ブームと投資熱の高まりにわいており、日本のベンチャー企業も再注目されています。そこでスタンフォード大学では、「どうすれば日本企業がシリコンバレーをうまく活かせるのか」をテーマにした、シリコンバレーと日本からの産学の専門家で構成するコンソーシアム、Stanford Silicon Valley New Japan Project(SV-NJ)を2014年10月に立ち上げました。SV-NJは、公開フォーラムやエコシステムの研究、政策討議、人材交流ネットワーキングなどを通じ、シリコンバレーと日本を結びつけるプラットフォームの形成をめざしています。これからも日本の企業や起業家がシリコンバレーをうまく利用するためのノウハウや問題解決方法を提供していきたいですね。 (敬称略)

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Kenji Kushida(けんじ くしだ)プロフィール

1978年、ニューヨーク生まれ。2歳から東京で育つ。
2001年6月にスタンフォード大学経済学部東アジア研究学部卒業(学士)、2003年6月にスタンフォード大学東アジア研究部修士課程修了、2010年8月にカリフォルニア大学バークレー校政治学部博士課程修了。情報産業や政治経済を研究。おもな日本語著書に『バイカルチャーと日本人 英語力プラスαを探る』(中公新書ラクレ)、『インターナショナルスクールの世界(入門改訂版)』(アマゾンキンドル電子書籍)がある。
メールアドレス/kkushida@stanford.edu

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